“ツライ”五十肩の原因と治し方とは?
肩腕の痛みとともに、「着替えがうまく出来ない!」「髪を洗うのがむつかしい」など、
日常生活に支障が出てくる“五十肩”。
いったい何が原因で痛くなり、どうして手が上がらなくなるのでしょうか?
”ツライ”五十肩の原因と治し方
1.五十肩って何が原因で痛くなるの?
1)仕事や日常生活での影響とは?
仕事での身体への負担は大きく、肩腕を良く使う仕事に四十肩や五十肩が多いのはよくありますが、長時間の前かがみで背中や腰の筋肉が硬くなる事が肩腕に影響して痛くなることも多いです。
看護や介護などでの前かがみや、荷物の上げ下げ、また長時間のパソコン業務なども首や背中に負担がかかり四十肩五十肩につながることも少なくありません。
趣味の編み物や裁縫、また畑仕事や草むしりでも”前かがみの手作業”になるので、首や背中に負担がかかり、それらが肩腕にも影響して五十肩を引き起こすことにもつながります。
そして、日々の過労のちく積も原因に関わってきます。仕事や家事や育児に追われて睡眠時間も取れずいつも身体が疲れているような状況だと五十肩を引き起こしやすくなります。
ストレスも東洋医学の面では五十肩を引き起こし長引かせる要因になります(肝鬱気滞)。また、身体が疲労している時はストレスは助長されてさらに強く感じてきますので悪循環にもなってきます(陰虚陽亢)。
なかなか自分では仕事や日常生活のさまざまな原因には気づきにくいので、治療院内でお話を伺っているなかで1つ1つ原因を探っていき、原因を共有して少しでも五十肩への負担を減らすように一緒に話し合っていきます。
2)体への負担が筋肉に影響して痛い?
先ほども出てきましたが、長時間の前かがみでの同じ姿勢や、頻繁な前かがみでの手作業などは、背中や首腰の筋肉に負担がかかります。筋肉に負担がかかると筋肉は硬くなって血の流れが悪くなります。血の流れが悪くなると乳酸がたまっていき、それらが痛みを引き起こす物質へと変わっていきます。筋肉の膜は痛みを感じるセンサーが多いので血流が悪くなった筋肉はちょっとした動きで痛みを感じるようになります。
五十肩の時に痛む肩腕の筋肉も同じで、肩腕を動かす筋肉が硬くなり血の流れが悪くなることで痛みが出て手が上がらなくなります。
また、首や背中の筋肉が硬くなると猫背になります。猫背になってしまうと真っすぐの正常な背骨の状態に比べて、普通の手作業をする場合でもさらに腕を上げなければ作業が出来なくなるので、片腕の負担がさらに増していきます。
(フローチャートで)
長時間の前かがみ/手仕事/疲労/ストレス⇒筋肉が硬くなる⇒血流が悪くなる⇒乳酸から痛み物質へ⇒痛い!手が上がらない!
(筋肉の血流が悪くなって痛み物質が出て痛そうなイラスト)
3)どうしたら肩の痛みが良くなるの?
先ほども出てきましたように、五十肩で痛みを感じて関節が動かしにくくなるのは筋肉が硬くなって血流が悪くなる事が原因です。硬くなって伸びなくなった筋肉を元の柔らかさまで戻して血の流れを良くすることで、徐々に肩の痛みも少なくなり、肩の動きも良くなってきます。
4)マッサージしてもらったら楽になるの?
マッサージは、硬くなった筋肉を柔らかくして血の流れを良くするのに効果的です。
ただむやみに痛い肩の周りだけを揉みほぐしたのでは持続的な効果はありません。
肩腕を動かす筋肉は20か所以上あると言われています(体幹も含めて)。
それらの筋肉を一つ一つ抜けたところがないようにマッサージしていかないといけません。
そのためには、筋肉・骨の知識と触察技術(触れて確認できる)が必要になってきます。
あやめ治療院では、骨・筋肉の触察研究会に13年所属し手技講師をつとめた施術者がマンツーマンで施術にあたります。
4)日常生活で何を気をつければ良いの?
”日常生活での負担を減らして”、施術の効果がしっかり出るように”身体全体の状態を良い方向に持っていく”。
この2つは五十肩改善に向けてとても大事です。
しかしこれらの日常生活での五十肩改善へのさまたげとなっている要因はなかなか自分では気づきにくいものです。
姿勢、同じ作業の繰り返し、疲労や睡眠不足、ストレッチや運動不足、ストレスなどいろいろ。
まずは、カウンセリングで個人によってちがう要因を探っていって一番体に負担のかから
ない方法をいっしょに見つけていきます。
5)良くなるために自分で出来ることは?
身体にマイナスの要因を減らしたら、次は良くなるのを手助けするような身体にとって良い方法を増やしていきます。たとえば、全身の筋肉の血流を良くするための「効果的なストレッチ」や「一人一人に合った運動指導」。
「効果的なストレッチ」はどこの筋肉を伸ばしているかをメインにおいて全身的な血流改善を目的とした「3分間ストレッチ」と症状に合わせた「個別ストレッチ」をおこなっています。
ただ単に形だけのストレッチではなく、しっかりと伸ばしている筋肉を意識した効果のあるストレッチをおこないます。
さらに「個別ストレッチ」は一通り患者さんを施術して筋肉の状態を確認したあとに、その人の症状改善に向けて必要な筋肉をみつけて重点的にストレッチしていきます。
このストレッチは院内ではもちろんですが、ご自宅で続けてストレッチしていきます。
継続して毎日ストレッチしていくことで筋肉の状態も施術との効果で少しずつに柔らかく血流の良い筋肉に変わって改善へと向かっていきます。
「一人一人に合った運動指導」とは、一人一人ちがう男女、年齢、持病、運動経験などを考えながら患者さんにあった運動方法を提案していきます。
およそウォーキングを中心とした全身の血流を良くする運動を中心において、乳酸のたまりやすい筋肉を増やすような筋トレの類は良くなるまではいったん休止していきます。
ただ、ウォーキングも張り切りすぎて一度にたくさん歩くと膝や腰を痛める原因となりますので、身体の状態を確認しながら運動プランをいっしょに計画していきましょう。
2.五十肩を治療しないで放っておいても治らないのはなぜ?
一度硬くなって血の流れが悪くなった筋肉はそのままにしてても柔らかい元の状態にはなかなか戻りません。
仮に自分なりの自己流のストレッチを五十肩に取り入れたとしてもストレッチだけでは硬い筋肉は簡単には柔らかくなりません。
また五十肩は肩だけの問題ではなく脊柱起立筋群の硬さや血流の悪さも関係してきます。
さらに生活習慣による負担や年齢、疲労、持病、ストレスなど五十肩の背景にいろいろな要因が関わってきます。
それらの悪影響は自分ではなかなか気づきにくいので改善もされていきません。
それらマイナス要因が背景にあることにより、
『痛み⇒交感神経興奮⇒血管収縮⇒血流悪化⇒痛みが増す』
といわゆる”痛みの悪循環”も起こってきます。
つまり五十肩の改善には
①生活習慣のマイナス要因の見直し
②生活習慣にプラス要因を取り入れて改善しやすい身体の状態をつくる
③筋肉の緊張をとり、血流をよくして元の正常な状態に戻す⇒筋徒手療法(筋マッサージ)+筋ストレッチ
が必要になって来ます。
3.40代以降で四十肩五十肩が多くなるのはどうして?
1)仕事・家事・子育てなどの疲労の蓄積
40代以降となると、これまでの10~20年以上の仕事での疲労が蓄積していたり、家事や子育ての疲れがたまっていっぱいになりかける時期でもあります。頭では以前と同じように考えてるのに何だか身体が思うように動かないし言うことをきかない。特に日々の忙しさでご自身の身体のケアがおろそかになってる場合、知らずしらずのうちに背中や肩の筋肉が硬くなって思うように動かなくなってきます。その状態をそのまま続けていると肩の関節の方にも影響が出てきて、”着替えする時に肩が痛くなってきた”や、”腕が真っすぐ上まで上がらなくなってきた”というような症状も現れてきます。それらがひどくなり慢性的な四十肩・五十肩になっていきます。
2)東洋医学の面からは?
東洋医学では40代以降は腎(五臓の1つ)のエネルギーがだんだんと衰えてきます。年齢とともに腎が弱まってくるため”腎虚”という症状になりやすく、そのために上下のバランスが崩れやすいとも言われています。例えれば、足が冷えて頭がのぼせる”冷えのぼせ”のような形になりやすいです。東洋医学では”上実下虚”といいます。五十肩のような肩の痛みもその一つとして考えられ、腎虚により下が弱まって出てきて、それに左右のバランスが崩れた上の症状ととらえることもできます。現代医学では40代以降の女性ホルモンのバランスが崩れた更年期障害のほてりやのぼせなどと重なってきます。当院ではそれらから原因の五十肩を東洋医学の鍼治療で身体の上下左右のバランスを整えていって、より五十肩の施術がスムーズに早く改善するようにそのための土台をつくっていきます。
4.いろんな所に通ったけど良くならないのはなぜ
1)原因である筋肉が改善されていない
五十肩の二大症状は「痛み」と「手が上がらない」です。
それらは筋肉が硬くなることによって出てくる「痛み」と「手が上がらない」なので、根本原因である筋肉をやわらかく血流の良い状態にしないと症状は改善しません。いろいろな施術方法や電気治療、痛み止めなどがありますが、結局は筋肉が硬いままで血流の悪い状態が変化しなければ、いろいろな所に行っていろいろ試みても「痛み」と「腕が上がらない」状態は改善されず、たとえ少しの間痛みが楽になったとしてもすぐに元に戻ってしまいます。
当院での施術は硬くなった筋肉を少しずつ柔らかくして血流を良くするための専門的な筋肉マッサージですので、段階を踏んで「痛み」や「手が上がらない」症状が改善されていきます。
2)良くなるまでどの位期間はかかるの?また施術間隔は?
一般的には四十肩五十肩の症状は何もしないでおくと1年半~2年近く治るまでかかると言われています。それで痛みは取れたとしても、手が以前のように耳に着くまで上に上がらなくなったなど可動域に制限が残ってしまう場合があります。
当院の実績では、平均すると週1~2回の施術間隔を約3カ月前後で改善が見込めます。
もちろん軽度の場合(注1)は3~4回の施術で症状が全く無くなる場合もありますし、症状が重い場合(注2)は4~5カ月かかる場合もあります。
また両肩が五十肩の場合は週2~3回の施術が必要になってきます。
(注1)軽度:例)仕事や日常生活での負担が少なく、肩が痛くなって3週間以内に来院等
(注2)重い場合:例)仕事や日常生活の負担が多く、肩が痛く上がらなくなって半年以上たち、いっぱいまで上げても90度以下までしか上がらないなど。