症例紹介【右手指の腱鞘炎】
症例紹介【右手指の腱鞘炎】
右手指が痛み、握ることができず来院された患者様の症例を紹介していきます
【安佐南区八木にお住いのH.Mさま】55歳 男性
いきさつ
左官の仕事を30年以上していて、1か月半くらい前から朝起きて右手指の力が入らなくなった。午前10時ころからは手指が動き始めるが、仕事で使うと次の日の朝は痛みがひどくなっていた。
ここ1か月くらい仕事ではコテを持っていない。
病院では腱鞘炎と言われた。
また、右の腕も真上まで上げることができず五十肩の症状もある。
ホームページを見て来院される。
施術の経過
初診では鉛筆を持って問診表に記入することも出来ず、もちろん左官仕事でコテを持つことも不可能だった。
施術4回目で1日中書類に書き込みをすることができて、6回目で仕事でコテが使えるまで回復した。
初診(R7,4/19):手指が曲がらず食事の時にハシも持てない。鉛筆を持って書くことが出来ない。浮腫みもかなりある。
右手の指が曲がらないので、指を曲げる筋肉を中心に肩周りまで広い範囲を施術していく。
2回目(4/23):ハシが少し持てる。左官コテも少し持てる。とにかく早く治して仕事でコテを使えるようになりたい。薬指が一番曲がりにくい。
手を握った時の指先~手のひらまでの距離(以下、指掌間)/施術後、薬指で38ミリ。
3回目(4/28):少しぶり返した様子で、浮腫みも前回よりひどい。
薬指の指掌間 施術前、60ミリ ⇒ 施術後30ミリ
4回目(5/1):手指の曲がりはかなり改善した。浮腫みも少ない。仕事で少しだけコテ持てる。
薬指の指掌間 施術前、30ミリ
5回目(5/6):仕事で1日中書類の書き物をして右手が浮腫んだ。手指の曲がりも良くない。
薬指の指掌間 施術前、70ミリ ⇒ 施術後30ミリ
6回目(5/9):仕事でも手指に負担をかけておらず、調子は良い。
施術前でもかなり指が曲がる状態。
薬指の指掌間 施術前、25ミリ ⇒ 施術後15ミリ
7回目(5/14):前回施術の次の日から4日連続で仕事でコテを使っている。ただあまり無理はしないようにしている。
施術前でもかなり手指が曲がっている。この日の施術後には全ての指先が手のひらにくっくようになった。
薬指の指掌間 施術前、15ミリ ⇒ 施術後0ミリ
今後の施術
少しずつ筋肉の状態が柔らかくなり血流も良くなって来ているので、仕事で負担がかかってもぶり返しにくい状態に近づきつつある。
ただ、手指だけでなく肩腕まわりの筋肉の硬さも原因の一つになっているので、以前のように仕事でスムーズに使えて、ぶり返さない状態までもっていくにはもうしばらく5~7日間隔で施術していく必要がある。
施術のポイント
今回の施術のポイントは、当初は指を曲げる深指屈筋、浅指屈筋が一番の原因とみて施術を開始していた。(曲げる方の筋肉が硬いと関節可動域が狭くなるため)
しかし、施術していくにつれて手指が曲がらない原因に伸ばす方の総指伸筋も関係していた。筋肉が硬くなっているために総指伸筋がしっかり伸びず手指が曲がらなくなっていた。
また、施術中に筋肉マッサージ⇒ストレッチ⇒筋肉マッサージと、間にストレッチを細かく挟むことで、早く無理なく可動域が改善していった。
この度の主な原因の筋肉は・・・
深指屈筋
浅指屈筋
総指伸筋
*その他の関連した筋肉・・・
手や指に関係する筋肉
(虫様筋、骨間筋、長・短母指屈筋、長掌筋、円回内筋/長短橈側手根伸筋、示指伸筋、長母指伸筋など)
肩関節まわりに筋肉
(上腕二頭筋、上腕三頭筋、三角筋、棘下筋、小円筋、棘上筋、僧帽筋、肩甲挙筋、前鋸筋など)
これらの筋肉の原因となる硬い部分を、筋肉マッサージで柔らかくし血流を良くした結果手指の可動域・痛み・浮腫みが改善。
手指の深指屈筋は一番深い所にあるため、時間をかけて表層の筋肉から柔らかくしていくことが大切。一番曲がらない指がメインとなるので、施術中に筋肉を弾いて指を曲げる筋肉を一本ずつ確認しながら施術していく。
手指の総指伸筋への施術は、指を曲げて伸ばした状態で施術することも大切。また施術間にストレッチを入れていくことでスムーズに可動域が改善していく。
もちろん、原因となる筋肉の血流を良くしていくためには、周りの関連する筋肉を柔らかくして血流を良くすることも欠かせない。